NPO法人 静岡県伝統建築技術協会 協会紹介

設立趣旨

 日本の建築は古くから、住居を初め、心の拠り所である神社や寺院に至るまで、木造であった。

気候風土を考え、自然に溶け込み、日本人の心と暮らしの中で育まれてきた木の文化の真髄である。

しかしながら、明治以降の急速な社会変化に伴い、近代化・合理化のもとで、飛躍的な発展を遂げてきた現代建築の中では、急速にその姿を失いつつある。

 そこで建築の文化を守るため、民家・神社・寺院・書院・数寄屋建築及び、それらに付属する庭園などの調査研究と普及を図ると共に、伝統技術の継承発展に寄与し、伝統建築の再発見や保存に務めることを目的とした活動を行う。

さらに、日本の建築に係わる育林・製材業者や、設計・施工者、建築主及び教育・研究機関、行政機関等、あらゆる分野の人々と交流研鑽を重ね、社会教育とまちづくりの推進、文化・芸術の振興、環境保全、その他伝統建築に係る幅広い助言・援助を通じ、広く公益に寄与するものとする。



NPO法人に至るまでの経緯

 前身の静岡県民俗建築技術協会は昭和57年6月に発足した。

伝統建築に関係する各種の業務に従事し、深い理解と愛情を持った者の集まりである。

各種の日本建築の良さや美しさを、幅広く奥深く知り、それを現代建築に活かす。

さらに、木材中心の日本建築を、それぞれ違った立場や職域の目で見つめ、意見を交換し合ってより良い建築の創造を心掛け、お互いの向上を目指した会である。

 会の趣旨に賛同する様々な職種の人々が静岡県内各地から集まり、木を愛し、伝統建築を研究し、 情報を交換し、互いに協力し合って活動してきた。

毎年恒例の行事である総会と新年会では、会員の親睦と情報交換にとどまらず、県内各地の会員の作品や歴史的建造物の見学を実施した。

また、知識や技術等の向上を図るため、全国の文化財建造物やその修理現場の見学、専門家による様々な講習会や勉強会を随時実施した。

建築することのみでなく、地場産木材の普及活用に関する調査、県内の文化財建造物に準ずる建物の発掘や保護・保存に関する調査等も積極的に行ってきた。

それらの活動を基盤として、機関誌『万匠』を過去46号分発行して、社会の啓蒙にも務めてきた。

このような経過の中、各専門分野で培われてきた技術や経験をふまえ、社会の要請に対応していく機会を創ることは、今後の重要な課題である。

伝統建築を見直し、木の文化を守り続けることは、木の建築に対する社会の要請に対しても極めて有意義なことである。

そこで静岡県民俗建築技術協会は、特定非営利活動法人 静岡県伝統建築技術協会として再編成し、活動の範囲を広げると共に責任を明確にし、さらに社会貢献を図るものである。